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アレルヤ誕生日おめでとう!
昨日まで忘れててずっと考えてたけどネタが浮かばず……
続けるつもりのなかったパロ第二弾アレニル編です。
続きでおいてます…
3日のロク誕には何か書ける……はず……。。
刹那の家の真下には小さめのカフェがある。
ケーキのおいしい店ということで、この小さな町ではある程度有名な店だ。
オーナーの名前はニール・ディランディという。
カフェをやるのが昔からの夢だったらしく、毎日楽しそうにせっせと働いていた。
人当たりがよく、顔もそこそこ良いので、その店は女子高生や女子大生からの多大な支持を得ていた。
その店のすぐ近くにある大学に通う女子大生は、必ず一度は行くという店である。
マリー・パーファシーもその中の一人であった。
今を遡ること4年前。
彼女がそこを訪れたのは、まだ入学して間もないころだった。
同じ大学に通っている1つ上の幼馴染の家を訪ねて来たとき、彼の家に着く直前に、ガラス越しに見えたケーキに目を奪われた。
女の子は甘いものに目がないのである。
少しくらい遅れても良いか、と思ってしまった。長い付き合いだし、アレルヤなら許してくれるわ。
店の中を覗くと、いくつか椅子とテーブルがあって、中で食べられるようになっている。
当時はまだカフェというより、ケーキ屋と言った方がふさわしく、というのも店が小さく飲食スペースがほとんどとれなかったのである。
その頃から人気はあったので、僅かな飲食スペースはいつも誰かが座っていた。
しかしマリーが最初に訪れた時、偶然客は誰も居なかった。
少し遅れる、という連絡を1本入れて、マリーはその店に入っていったのである。
そのケーキは、マリーの期待を裏切らなかった。
思わず「おいしい」と呟いたマリーにその店のオーナーはにっこりとほほ笑んだ。
「君、そこの大学の学生?」
「あ、はい」
「へぇ。あそこの子、よく買いに来てくれるよ。ほんとはこうやって座って食べてほしいんだけどさ」
テーブルが少ないからなぁ、とオーナーは肩をすくめてみせた。
「お店、大きくしないんですか?」
「うーん、その内、できれば」
この場所を動きたくないのかもしれない、とマリーは思った。
店を大きくしようと思ったら、この場所ではとても無理だ。
好きで来てくれるひとが大勢いるのに、場所を移動したがために来てくれなくなる人が居れば悲しむだろう。
結局その時はアレルヤへのおみやげにケーキを買って別れたのだが、マリーはそれからも度々そのケーキ屋を訪れるようになった。
「アルバイト?」
「あぁ。誰かいないか?」
マリーがニールにそう尋ねられたのはそれから半年後のことだった。
いつも誰かが居る店で、マリーは人が居ない時間帯を見つけてちょこちょこと通い続けていた。
そしてその時、ニールはまずマリーに店を大きくすることにしたという報告をしたのだった。
マリーの予想通り、やはり少しだけ店を移動することにしたらしい。すぐ近くだということで安心したのだが、店を大きくするにあたって、人手がほしいというのだ。しかし一人だけ。
今でも店は忙しく、大勢来られた時に一人のために面接するのは大変だ。
なので、人から知り合いを紹介してもらおうという考えに至り、マリーに尋ねたという訳だった。
お前さんでもいいんだけど、と言われてマリーは頭を捻った。
しかしそれは無理だという結論に至る。
マリーには父と兄が居た。正確には養父になるのだが、ともかく、マリーに対して非常に過保護であった。兄も同様である。
アルバイトが悪いことだとは言わないが、男性と2人で働かせることを許すとは思えなかったのである。ただしそれは後に杞憂だったと気づく。
しかしその時はマリーはそんなことは知る由もなく、父と兄が許さないだろうと思った。
それから多分、ハレルヤも良い顔をしないだろう。アレルヤは……
「…あ」
「誰かいたか?」
「はい。どこに移転するんですか?」
「向かいのマンションの1階だ」
それならばちょうど良い。アレルヤはそこの2階に住んでいるし、多分よく働いてくれるはず。
ーと、言う訳で、アレルヤとニールは出会ったのであった。
「………随分と長い前置きだったな」
「まだ出会ってないぞ」
隣同士の席に座って文句を垂れるのはライルと刹那である。
その向かいに座ったハレルヤは何杯目か分からない酒を煽って2人に言った。
「もういいじゃねーか、これ以上聞いたってあまーいゲロゲロな話が待ってるだけだぜ?」
今日はアレルヤとハレルヤの誕生日パーティーがニールの店で開かれていた。
とはいってももう皿は空になり、ただの飲み会と化している。
その上祝われる側であるはずのアレルヤはその立場よりも皆のお世話役としての立場を優先され、今はなぜか使い終わった皿を洗っている。
一緒に洗うと言っていたニールも酒に潰れて眠ってしまった。
酒だけは大量にある中、酒のつまみの話でもとかなんとか言って、誰からともなくアレルヤとニールの馴れ初めを聞きたいと言い出したのだった。
そして、その場にいたマリーが話し始めたのだ。
しかし如何せん、彼女は酔っぱらうとよく喋る種類の人間であり、馴れ初めと言いつつ出会ったところまでを話す時間が非常に長かったので残りのメンバーはもう退屈していた。
マリーも、そこまで話すと糸が切れたように机に突っ伏して眠りだした。
「俺も別にもうあの2人の話はどうでもいい。それよりお前たちはどうなんだ」
ハレルヤの隣に座ったティエリアが話を切り替える。
刹那は一瞬びくりと身体を固くしたが、そこはライルがうまく切り抜けた。
「お前たちこそどうなんだ。付き合ってんだろ?」
「は?何言ってんだ」
「そうだ。俺が上だ」
「おま…っ!てきとーな事言ってんじゃねーぞ!」
「そうなのか、ハレルヤ。俺の仲間だな」
「はァァ?!何言っちゃってんの?何言っちゃってんの?お前が上とか下とか興味ねぇしまぁそうだろうなとは思ってたけどもよ!つうか大体付き合ってねーし!」
最初は上手く受け流そうとしたハレルヤが動揺していることは誰の目にも明らかだった。
酔っ払っている刹那の言った、自分でも何を言っているか分かっていないような事にもやけに反応してその元凶である刹那の方がきょとんとしているくらいだ。
「……ハレルヤも酔うとよく喋るんだな」
「多分これは動揺してるからだと思うよ刹那クン」
「良い機会じゃないか。ハレルヤ、一緒になろう」
「いいいいいいっみわかんねー酔ってる時に言われても嬉しくねーよ!」
「じゃあ酔ってない時に言われたら嬉しいのか」
「良かったなハレルヤ~」
「お前らだまれぇぇぇ!!」
わいわい、と騒がしいテーブルを見ながらアレルヤは良かったねハレルヤ、とほろりとしていた。
アレルヤは常々、ハレルヤに恋をしなさいと言い続けてきた。恋愛はとてもいいものだ、とアレルヤは心の底から思っていた。
彼自身がニールと出逢ってとても幸せになったからだ。
だからこの気持ちをハレルヤにも分かってほしかったのである。
大学に入ってから浮いた噂の一つもなかったハレルヤだが、この調子なら心配はなさそうだ。
ティエリアと幸せにね、ハレルヤ。
「うわぁぁぁぁ」
アレルヤの視線の先では、ハレルヤが盛大な照れ隠しをしている。
ニールは悩んでいた。
それはアレルヤがニールの店で働き始めてから数ヶ月後のこと。
昼間、お客としてやってきたマリーと、接客したアレルヤの会話から、今日がアレルヤの誕生日だということを知ってしまったのである。
しかも、二十歳の誕生日だというじゃないか。
どうしてそんな人生での大事な日にバイトなんかしてるんだ、と思ったが、ニールとアレルヤ2人きりの店である。誕生日だからと休むわけがない。
しかし2人きりの店だからこそ、誕生日くらい祝ってやりたいというもの。
だからニールは悩んでいた。
何かしてやりたいとは思うものの、こういう日に限って店が忙しく、ようやく落ち着いた今はもう日が暮れている。もう1時間もすれば閉店だ。
とりあえず、ニールはチョコレートプレートを取り出した。先日頼まれた誕生日用の余りで、「HAPPY BIRTHDAY」と書かれている。
アレルヤが休憩に入っている間に、チョコペンで「アレルヤ」と書いてみてからこれで良いのだろうかとまた悩み始めた。
どこぞの子どもじゃあるまいし。二十歳なんだから酒でもあげるべきだろうか。けれどこの店にはお菓子用のラム酒やブランデーくらいしかない。
その上、誕生日だからホールケーキを、と思っても、店を新しくしてからホールケーキは頼まれなければ取り扱うことはない。
今、店にあるのはあまり人気のない余りもののショートケーキばかりだ。
結局、閉店後、ニールはその中の一つにチョコレートプレートを乗せて、アレルヤに渡した。
「えっ……くれるんですか」
驚いて目を見開いたアレルヤに、ニールは申し訳ない気持ちになった。
「今日、お前誕生日なんだろ。けど知らなかったから、大したこともできなくて……あまりもんで悪い。来年はもっとちゃんとしたもんやるからさ」
「そんな、嬉しいです。…すごく嬉しい」
本当に嬉しそうにケーキを見つめるアレルヤを見て胸の奥がぎゅうっとなるのが分かった。
「ねぇ、ニール」
そのまま顔を上げられてドキリとする。なんでこんなにドキドキしているんだろう、と思った所で更に心臓を掴まれた。
「-ぼく、あなたが好きです」
「……え?えぇっ?!」
「す、すいません……黙っておこうと思ってたんです、けど……」
しゅるしゅると真っ赤になって落ち込んだ様子で俯かれた。
その顔を可愛いな、と思って、まぁアリかな、と思った。
まさかその後乗っかられるとは思ってなかったのだが。
いや、しかしあの時のアレルヤは可愛かった!
ーと、思った所でニールは目を開けた。
ハレルヤがあまりに騒ぐので目を覚ましたのである。
「あ、起きた?」
カウンター越しに洗い物をしていたアレルヤが声を掛ける。
水の音が聞こえてニールは途端に覚醒した。
「あ、悪い、皿洗い!」
「あぁ、気にしないで」
「今日の主役だろうが!」
カウンターの中にニールが乱入し、2人で皿洗いをはじめる。
最初はニールが代わると言ったのだが、もう少しだから、とアレルヤも引かず、結局2人ですることになったのだった。
「ところで、どんな夢見てたの?」
「え?」
「なんだか、寝顔が良かったから」
「……」
「どうしました?」
そういうことをさらっと言われると照れてしまうニールである。
それならば仕返しをしてやろう、と、ニールは観た夢のままを伝えることにした。
途端にアレルヤが真っ赤になる。
あぁ可愛いやつ、とニールが満足した時、ハレルヤが「お前らもいい加減にしろ!」とテーブルから叫んだ。
ハッピーバースデーアレルヤ&ハレルヤ!